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天祢涼先生から『少女が最後に見た蛍』をいただきました。



仲田シリーズ4作目で、なんと連作短編集です!
短編集とか連作短編大好きなので、とてもうれしい。
ひとつだけ残念なことがあるとすれば、短編は「絶対に先に謎を解いてやるぞ!」と意気ごむ間もなく物語が終わっていることですね。
長編でも、探偵より先に謎を解けたことなんて一度もないんですが……。

収録されている作品は長さこそ短いものの、いずれもしっかり濃厚な社会派ミステリでした。
この国が抱えている問題を直視したうえで、それを作品に昇華して可視化してくださっている印象。
ここに描かれている事件よりもっと陰湿で救いようのない現実だって、そこら中に転がってるんだろうな、と考えさせられました。
おまけに「そういうことだったの!?」と意外性のある結末ばかりで、エンタメ作品としても楽しかったです。

今回特に印象に残ったのは、いじめをテーマにした短編でした。
深くて重い……。
でも、どの時代や環境においてもある問題だと思います。

短編集が好きな方、いじめ問題に興味がある方、天祢先生の社会派ミステリが好きな方はぜひ読んでみてください!
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2023.11.23 Thu l 日々 l コメント (0) l top
京極夏彦先生が執筆された絵本『きつね』を読みました。


愛くるしい狐のイラストに吸い寄せられて手に取りました。
小話が3話収められているのですが、3話中2話で罪のない狐が人間に殺されていて、人間を恨む気持ちが強くなりました。
狐が人間ならただの殺人だよ。
しかも狐は人間より知能が劣っていると推測されるので、たとえるなら人間の大人が無邪気で非力で無抵抗な子供を一方的に圧倒的な力で殺すようなものです。重罪じゃないか。

まじめに考察すると、昔から狐は人を化かす悪者扱いされていたのがよく分かる良書だと思います。
原案が柳田国男先生ということは、古くからあった伝承をもとに書かれた作品だと思うので。
京極先生が柳田先生の文章を読みやすく書き直してくださっているおかげで、子供でもさらっと読めます。
なにより絵がステキ。狐がかわいい!

このブログでは著者の先生からいただいた作品の感想しか書かないことにしていましたが、これはちょっとスルーできませんでした。
狐がかわいすぎた。
2023.07.04 Tue l 日々 l コメント (0) トラックバック (0) l top
メフィスト賞の先輩・天祢涼先生から『彼女はひとり闇の中』をいただきました。


私はいつも帯文や裏表紙のあらすじを読んでから本文を読み始めるのですが、今回はそれらをすべてすっ飛ばしていきなり本文を読み始めました。
だって、天祢先生の作品ですよ?
絶対おもしろいに決まってるじゃないですか!

手品が好きな人はだまされたくて手品を見る。
ミステリ愛好家はだまされたくてミステリを読む。
でも、次こそだまされないぞ! と著者に挑戦する気持ちも少なからずあります。

今回も冒頭部分を読んだ直後に、天祢先生にお礼のメールをお送りしました。
メールの一部を抜粋します。
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さっそく一章を拝読しました。
今回はコロンボ形式なんですね。
冒頭で犯人が明示されているということは、
なにか他のことで読者をあっと驚かせようとされているに違いない!

今回こそだまされないよう細心の注意を払いつつ、読み進めようと思います。
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これはフラグだな、と思ったみなさん、大正解です。
今回も見事にだまされました!!!

だまされたといえば、もうひとつ。
天祢先生はラブコメミステリと社会派ミステリ、二種類のミステリを書かれる作家さんとして有名ですよね。
一章を読んだ時点で「今回はラブコメのほうか」と思っていたのですが、違いました。
がっつり社会派ミステリでした。

これもネタバレになってしまうので詳しくは書けないのですが、天祢先生の社会派ミステリが好きな人はぜひ読んでみてください!
2023.02.28 Tue l 日々 l コメント (0) l top
先ほどアクセス解析ページを確認したら、元旦にこのブログを見に来てくださっている方がいて驚きました。
気にかけてくださって、本当にどうもありがとうございます。
新年のあいさつが遅れてしまって申し訳ありません。

今年は生まれてはじめて除夜の鐘をつきにいきました。
除夜の鐘は年末につくものだろう、と多方面からつっこまれそうですが、うちの最寄りのお寺では0時を回ってから鐘の音が聞こえはじめました。
細かいことは気にしたらあかん。参加することに意味があんねん。
それはさておき、鐘の中に入ると鐘の音が聞こえなくなるというのは本当なのでしょうか。
前から気になっていたのですが、あいにく後ろがつかえていたため、確かめることはできませんでした。
今夜あたりこっそり実験したらあかんやろか。

話は変わりますが、
先日、拙著にも登場させた某稲荷神社の前で妙齢の女性の会話が聞こえてきました。
「瓢箪山稲荷って、日本三大稲荷のひとつなんやって」
「へえ。小さいけどすごいんやなあ」
お姉さま方、【自称】日本三大稲荷はいっぱいあります。
伏見稲荷大社は誰もが認める「日本三大稲荷」ですが、あとの二社は神社や人によって言ってることが違います。
これも参加することに意味があるということなのでしょう。
ちょっと違うか。

瓢箪山稲荷神社や大阪・奈良・京都の観光名所が登場する拙著はこちらです。
小説版観光ガイドのつもりで書いたので、暇つぶしにでも読んでいただけると嬉しいです。


ここだけの話、デビュー作『恋都の狐さん』も奈良のすばらしさを伝えたくて書いた小説です。
恋愛小説のつもりはなかった。


今Amazonを確認したところ、4作とも紙の書籍は中古品しかなかったのですが、絶版になったのでしょうか。
実はうちに新品があるんやけど。
出版時に自費で購入した分もあるので、結構たくさんある。
廃業する出版社から自著の在庫を買い取って販売したって話は聞いたことあるんですけど、これは売ったらあかんのかな。
うーん、悩ましい。
ドラマ化とかされることになったら、再版してもらえるんやろうけどな~。
ドラマ化・アニメ化・マンガ化のご相談はいつでもお待ちしています!

思いつくままつらつら書いていたら、ずいぶん長くなってしまいました。
私の悪い癖ですね。

末尾になりましたが、このブログを読んでくださった方全員に驚くほどハッピーなことが山のように起こりますように!
2023.01.02 Mon l 日々 l コメント (0) l top
メフィスト賞の先輩・天祢涼先生から『拝啓 交換殺人の候』をいただきました。


交換殺人。
有名な単語ですが、実際に交換殺人を扱った小説って少なくないですか?
少なくとも私はこれまで一度も読んだことがありません。
タイトルを一目見た瞬間テンションが急上昇して、小躍りしました。

読後の第一声は「だまされた!!!」です。
天祢先生には毎回だまされているのに、どうしてこうも見事にだまされてしまうのか。
私に学習能力がないんじゃなくて、天祢先生の筆力がすごいんだと主張したい。
物語が二転三転して、まったく予想もしなかった方向に進んでいくんですよ。
たしかに伏線はあったけど! これに気づける人いるの!?

みなさんも是非読んでだまされてください。
ネタバレになるので詳しくは書けないのですが、いっそすがすがしいくらいだましてくれます。
それも何度も。
1冊の長編小説でこんなにだまされたの、マジで生まれてはじめてですよ。

天祢先生、素敵な小説をどうもありがとうございました!
2022.08.11 Thu l 日々 l コメント (0) l top